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相続 2025年10月21日

相続放棄の正しい進め方|手続きの流れと注意点を法律家が解説

相続放棄は、3か月以内の手続き期限や家庭裁判所への申述など正しい知識が求められます。法律家が単純承認・限定承認との違いや具体的な手続きの流れ、注意点を優しく解説。誤った判断を避け、後悔しない選択をサポートします。

相続放棄の基礎知識と正しい手続き

― 期限・方式・注意点を法律家の視点でわかりやすく解説 ―

相続では、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借入金・保証債務などのマイナスも承継します。そのため、債務超過や管理コストが重い不動産(いわゆる「負動産」)がある場合には相続放棄を検討することがあります。もっとも、期限や方式を誤ると取り返しがつきません。本稿では、相続放棄とは何か、正しい手順と注意点を整理します。


1. 相続人が選べる3つの方法(単純承認/限定承認/相続放棄)

  • 単純承認
    プラス・マイナスを含め遺産の全部を承継します。特別の手続きをしなくても、一定の場合に法律上「承認したもの」とみなされることがあります(後述の法定単純承認)。

  • 限定承認
    相続財産の範囲内で債務を弁済する制度です。共同相続人が数人いるときは共同して家庭裁判所に申し立てる必要があります(民法924条)。手続が複雑なため実務上の利用は多くありません。

  • 相続放棄
    遺産(プラス・マイナスすべて)を一切承継しない方法です。後述のとおり、家庭裁判所への申述が受理されて初めて効力が生じます(民法938条・939条)。

一度放棄すると、後から財産が見つかっても原則として取り戻せません。判断は慎重に。


2. 相続放棄の要点(起算点・期間・方式)

2-1 起算点と期間(民法915条)

相続の承認または放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に行います(いわゆる熟慮期間)。

  • 先順位の相続人が放棄した結果、次順位の自分に相続が開始したことを知った時が起算点になるケースもあります。

  • 3か月で調査が間に合わないときは、家庭裁判所に期間伸長の申立てが可能です(同条但書)。

2-2 方式(民法938条・939条・919条)

  • 相続放棄は家庭裁判所への申述によって行い、申述が受理されると効力が生じます(938条)。

  • 受理されると、初めから相続人でなかったものとみなされます(939条)。

  • 受理後の撤回は原則不可です(919条1項)。詐欺・強迫等の特別な事情がある場合に限り取消しが認められる余地があります(同条2項)。


3. 期限徒過と「法定単純承認」(民法921条)

次のいずれかに該当すると、相続を単純承認したものとみなされます

  1. 相続財産の全部または一部を処分したとき(921条1号)。

  2. 熟慮期間内に限定承認または放棄をしなかったとき(921条2号)。

  3. 相続財産の隠匿・私的消費・悪意の遺棄をしたとき(921条3号)。

→ 放棄を考えているときは、財産に手を付けないことが鉄則です。保存・調査などの最小限の管理行為は通常承認に当たりませんが、処分行為(引出し・売却など)は厳禁です。


4. 相続放棄の実務フロー(3ステップ)

① 相続財産の調査と相続人の確定

  • 預貯金・不動産・有価証券・債務(借入・保証)などを網羅的に調査

  • 戸籍収集等で法定相続人を確定

  • 調査・保存などの必要最小限の行為にとどめ、処分は避ける。専門家への早期相談が有効。

② 申述書の作成・提出(提出先:被相続人の最後の住所地の家庭裁判所)

  • 相続放棄申述書に、被相続人・申述人の情報、放棄の理由等を記載し、戸籍関係書類等を添付。

  • 郵送提出も可ですが、熟慮期間内に裁判所へ到達する必要があります(消印日ではなく到達主義)。補正の可能性も見込み、余裕を持って準備する。

③ 家庭裁判所の照会への回答 → 受理通知の受領

  • 必要に応じて照会書が届くため、期日までに事実に即して回答。呼出しがあれば必ず応じる。

  • 問題なければ相続放棄申述受理通知書が送付され、手続完了。以後は同通知書や受理証明書を用いて、金融機関や債権者に自分が相続人でないことを示します。


5. よくある誤解と注意点

  • 代襲相続との関係
    相続放棄が受理されると、初めから相続人でなかった扱いになるため、自身の子(被相続人から見た孫)に相続権が移ることはありません(代襲相続とは異なる仕組み)。

  • 次順位相続人への影響
    一人が放棄すると、相続権は次順位の相続人へ移動します。子が全員放棄すれば親・兄弟姉妹へ、更に放棄が続けば相続人不存在の手続へ進みます(相続財産管理人選任 → 債権者弁済 → 特別縁故者への分与の可能性 → 残余は国庫帰属)。

  • 葬儀費用の扱い
    葬儀の手配自体は通常「保存・管理行為」として問題になりにくいものの、被相続人名義口座からの引出し等は処分行為と評価され得ます。放棄を検討している段階では財産に手を付けない対応が安全です。


6. まとめ(実務の要点)

  • 起算点は「自己のために相続開始があったことを知った時」。原則3か月、足りなければ期間伸長の申立て

  • 方式家庭裁判所への申述 → 受理で効力発生。受理後の撤回は不可

  • 法定単純承認に要注意(処分・期間徒過・隠匿等)。

  • 放棄は最終決定です。迷う場合は、限定承認や遺産分割での調整など他の選択肢も含め、早期に専門家へ相談を。


チェックリスト(提出直前に)

  • 起算点の認識は正しいか(いつから3か月か)

  • 期間伸長の必要があれば申立て済みか

  • 財産の処分や引出し等をしていないか

  • 申述書・添付戸籍の不備はないか

  • 郵送の場合は到達日が期間内か

  • 受理後の証明書取得・債権者等への対応を確認したか

    当事務所では相談は無料で承っております。大府市内の信託、遺言、終活の相続でお困りの方は、お気軽にご相談ください。専門家が法律に基づいて的確にアドバイスし、迅速な相続手続きのお手伝いをいたします。

    東海市、刈谷市、東浦町、名古屋市など近隣在住の方からの相談も大歓迎です。

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