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ブログ 2025年10月02日

相続財産に負動産がある場合

相続財産に維持費ばかりかかり売れない「負動産」が含まれていませんか?田舎の売れない土地や再建築不可の空き家など、負担となる不動産への対策を、寄付や相続放棄など法律の専門家がやさしく解説します。遺産分割トラブルを防ぐポイントも解説。

はじめに:負動産と相続の問題

負動産」とは、所有しているだけで維持管理費や税金などの負担がかかる一方、需要が低く売却の見込みが立たない不動産を指す言葉です。たとえば 田舎の山林や原野、長年放置された農地、老朽化が激しい空き家などが典型例です。特に問題となるのは、現在の法規制で再建築ができない古い住宅です。建築基準法で定める道路への接道義務を満たさない土地上の建物(いわゆる「再建築不可物件」)は、一度取り壊すと新たに家を建てられないため価値が大きく下がり、買い手がつきにくくなります。このような負動産を相続すると、維持するだけでコストがかかり続け、活用も処分もできずに相続人の悩みの種になりかねません。

負動産がもたらす負担とリスク

負動産を相続すると、まず経済的な負担が継続します。固定資産税や都市計画税は、不動産を所有している限り毎年課税されます。たとえ利用価値がなくても、負動産のためにずっと税金を払い続けなければなりません。また、不動産の種類によっては管理費も発生します。例えば空き家であれば定期的な見回りや草刈りなどの管理が必要ですし、マンションなら管理費・修繕積立金の支払いも続きます。

適切に管理しないまま放置すると、法的なリスクにも発展しかねません。空き家が老朽化して倒壊し他人に被害を与えた場合、所有者が損害賠償責任を問われる可能性があります。さらに、屋根や壁が崩れかけ衛生上も問題があるような空き家は、市町村から**「特定空家等」に指定されることがあります(空家等対策の推進に関する特別措置法第9条)。特定空家等に認定されると行政から改善の指導や勧告・命令が出され、従わない場合住宅用地の固定資産税特例が除外されて税金が大幅に増額し、最悪の場合は行政代執行で強制的に解体され費用を請求されることもあります。本来、住宅が建っている土地は固定資産税が大幅に減額される「住宅用地特例」の適用がありますが、特定空家等になるとこの特例が受けられなくなってしまうのです。加えて、改善命令に従わないと50万円以下の過料**が科されるケースもあります。このように、負動産を放置すると経済面だけでなく法律面でも様々なリスクを招くおそれがあるため、所有する以上は適切な管理責任を負わざるを得ません。

遺産分割協議への影響

負動産が相続財産に含まれていると、遺産分割協議(遺産の分け方の話し合い)が難航する可能性があります。相続人が複数いる場合、誰も価値のない不動産を引き取りたがらないために揉めてしまうことがあるのです。例えば兄弟姉妹で親の遺産を分ける際、その中に郊外の売れない空き家や山林があるとします。処分もできず維持費ばかりかかる不動産を「自分が相続する」と名乗り出る人は少ないでしょう。かといって誰も相続しないままだと遺産分割協議がまとまらず、相続手続き全体が進みません。結果として遺産分割そのものに時間がかかり、相続人同士の関係悪化を招く恐れもあります。

こうした事態を防ぐには、話し合いの工夫も必要です。例えば、負動産を相続する人には他の財産(預貯金など)を多めに配分してバランスを取る、あるいは専門家を交えて現物分割以外の方法(換価分割や代償分割)を検討することも考えられます。いずれにせよ、負動産がある場合は相続人間で十分に協議しておかないと、相続開始後にトラブルになる可能性が高い点に注意が必要です。

負動産への主な対策

相続前にできる対策(生前対策)

被相続人(財産を残す人)が健在なうちに、負動産になりそうな不動産を整理しておくことが重要です。まずは売却を検討します。たとえ二束三文でも買い手が付く可能性はゼロではありません。不動産業者に相談したり、自治体の運営する**「空き家バンク」**に登録して移住希望者に紹介してもらうなど、活用の道を探ってみましょう。特に空き家バンク制度は、地方への移住希望者に空き家を安価または無償で提供できる仕組みで、思わぬニーズが見つかる場合もあります。

どうしても買い手が見つからない場合、思い切って自治体へ寄付する方法もあります。ただし自治体側にも受け入れるメリットがない土地は寄付を断られるケースが多いのが実情です。それでも、公園や公共施設用地に使えそうな土地であれば引き取ってもらえる可能性もあります。一度地元自治体に相談してみる価値はあるでしょう。

相続発生後の対策

相続が始まった後(被相続人の死亡後)でも、負動産に対処する手段がいくつかあります。まず、相続人全員がその不動産を相続したくない場合、相続放棄を選択することが挙げられます。相続放棄とは家庭裁判所で手続きを行い、初めから相続人ではなかったことにする制度です(民法939条)。相続放棄が認められると、当該相続人はプラスの財産もマイナスの財産(負債や負動産)も一切引き継がないことになります。ただし相続放棄は相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があり(民法915条1項)、期間を過ぎると原則として放棄できなくなるので注意が必要です。

もう一つの方法は限定承認です。限定承認とは、相続によって得た財産の範囲内で被相続人の債務などを弁済することを承認する手続(民法922条)で、プラスの財産を超える負債は引き継がないというものです。限定承認を選択すれば、負動産による将来的な負担が相続財産の価値を超える場合でも、自分の財産から持ち出してまで支払う必要はなくなります。ただし、限定承認も家庭裁判所への申し立て期限が相続放棄と同じく3か月以内であること、かつ相続人全員で共同して行う必要があるなど手続きがやや複雑です。日本では限定承認は利用件数が少ない制度ですが、負動産と他の財産とのバランスによっては検討に値するでしょう。

さらに、新しい制度として令和5年(2023年)4月からスタートした**「相続土地国庫帰属制度」があります。この制度を利用すると、一定の要件を満たした土地について国が引き取りを承認してくれる可能性があります(利用するには法務局への申請と審査が必要で、引き取ってもらうには管理しやすい土地であることや10年分の管理費相当の負担金納付など条件があります)。例えば建物が建っておらず、更地にしてからでないと申請できないなどの制約がありますが、「相続した土地を手放したい」というニーズに応える画期的な仕組みです。この相続土地国庫帰属制度については、要件や手続きの詳細を次の記事でご紹介する予定です**。

おわりに

相続財産に負動産が含まれていると、相続人にとって大きな悩みとなります。負動産とは維持管理に手間がかかる反面、売却もままならない不動産のことで、固定資産税などのランニングコストや管理責任、法律上のリスクが伴います。こうした負動産は事前に処分や活用策を検討し、相続人間で十分に話し合っておくことが大切です。また、相続開始後でも相続放棄や限定承認、新制度の活用といった対処法がありますので、状況に応じて適切な方法を選択しましょう。専門家に相談すれば各手続きやリスクについて具体的なアドバイスを得られます。不安な方は早めに専門家へ相談し、負動産問題に備えておくことをおすすめします。幸いにも法律や制度は年々整備されつつありますので、適切な知識と対策で「負」動産を「不」動産に変えていきましょう。

当事務所では相談は無料で承っております。負動産を含む相続でお困りの方は、お気軽にご相談ください。専門家が法律に基づいて的確にアドバイスし、迅速な資金確保のお手伝いをいたします。

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